スーダンの航空会社

エアーウガンダの機体



日本からはエミレーツ航空がドバイ経由でハルツームまで飛んでいるようですが、私はウガンダまでの往復の航空券を買っていたので、ウガンダからローカルな航空会社を利用してスーダンへ入りました。スーダン国内でも、ジュバからハルツームに往復する際はスーダンの民間航空機を使用しました。国境は紛争をしているし、安全な国とはいえないうえ、スーダンの国土は非常に広い(アフリカで面積最大の国はスーダンです)ので、陸路ではなく空路を利用することになります。したがってどうしても移動の予算がかかってしまう。アジア旅行と違って、安いオルタナティブがありません。(あるかもしれませんが、命の保障がありません)


いずれの航空券も、日本からは代理店でもWEBでも予約できなかったので、現地でチケットを買うことになります。


エンテベウガンダ)〜ジュバ(南部スーダン)はエアー・ウガンダというウガンダの国立の航空会社を利用しました。新しい会社らしくホームページはまだないようです。フライトは毎週火、木、土、日でエンテベ発11時、飛行時間は1時間。復路はジュバ発13時。チェックインは2時間前です。フライト中はサンドイッチなどの軽食が出て、なかなか快適なフライトでした。機内食があるということ自体にびっくり。片道165ドルですが、代理店を利用すると手数料を10ドルくらい取られます。直接航空会社のオフィスか、空港で買うとよいでしょう。ちなみに米ドルでの支払いが可能です。


ジュバ〜ハルツーム(北部スーダン)はMarsland(http://www.marsland-avi.com/ )という航空会社が毎日フライトをもっています。ジュバ発16時、およそ2時間のフライト。ハルツームからは朝7時発。チェックインはいずれも2時間前ですから、ハルツーム発は結構大変です。私はジュバの代理店でチケットを取ったのですが、手数料込み往復で363ドルでした。Marslandの機体は中国からのものを使いまわしているとのことで、かなりぼろくて心配でしたがフライトアテンダントも対応がいいし、立派な航空会社ではないでしょうか。機内食はパンとパティとポテト、コーヒーみたいな感じでした。ただし、コーヒーが激甘。スーダンのどこで飲んでもそうですが、信じられないくらい砂糖を入れられます。


なお、スーダンでももちろん飛行機は定刻には飛びません。とはいえ、いずれも2時間程度の遅れで出発しましたから、まぁ良心的ですね。


それから、Marslandの場合(他の航空会社もそうかもしれませんが)リコンファームは非常に重要です。私はこれを怠って、危うく飛行機に乗れないところでした。代理店でチケットを買うとわかりますが、空席があるかをウェブでチェックできるなんてことがあるわけもなく、しかも電話で航空会社に問い合わせることもなく、代理店のおねえちゃんは領収書みたいなものにさらさらと日付と便を書いて、チケットだと言って売りつけてくれます。したがって、私はチケットは買っていた(=お金を払って飛行機に乗る権利は得た)けれども、航空会社に私の名前で席に予約を入れてはいなかったわけです。何しろ、最初に渡されたチケットをチェックしたところ日付が間違っていて、訂正するように言ったらそのチケットの日付に二重線引いて上から書き直してましたから。こんなの、私の意志でいつでも日程変更できてしまいます。私はジュバの代理店で買い、ジュバ発の飛行機にはスムーズに乗れましたが復路、ハルツーム発の飛行機でやられました。


私の場合、ハルツームのMarslandのオフィスで日程変更の手続きを行って、「前日にここに電話しろ!」とケータイの番号を渡されたのですが、その日その番号に何回かかけてもつながらず、「ど〜せいい加減な国だし、大丈夫だろ」とたかをくくって復路、結局リコンファームできずに空港へ行ったのでした。ところが、、なんとチェックインのときに係がリストをちゃんとチェックして、名前を照合しているではありませんか。やられた!と思いました。案の定、「お前はリストに名前がない。」と冷たくあしらわれる始末。しかし私はスケジュールが結構タイトだったので、何が何でもこの便に乗る必要があったのです。これは、あせりました。ひたすら"I paid! You must let me go!"みたいなことを訴えていたら、「1時間くらい待ってまた来い」みたいなことを言われました。結局、私以外のローカルでも同様に予約できていない人は何人かいたらしく、Waiting Listがあったようで、予約済の人が全員チェックインした後、私もチェックインすることができました。いや〜、ホントよかった。。


(こういうとき、外国人である自分だけがシステムを理解できず予約できていなかったとしたらとても恐ろしいです。担当者も相手がローカルでなく日本人であると知れば助けようとしないかもしれない。それが怖くてたまりませんでした。でも、私と同様にチェックインで苦情を言い、しぶしぶ待たされているスーダン人や中国人を見つけて、一応ほっとしました。もっとも、席に限りがあればライバルになってしまうわけですが。とにかく、待たされている間は気が気ではなかった。)


なお、ジュバからハルツームのフライトでは、乗客の中で黒人でないのが私一人しかいなくて、これはこれで怖かったです。いくらスーダン人がいい奴らだとわかっていても、誰か一人でも肌の色の違う人間を憎んでいる人がいたら、私の味方をしてくれる人なんていないかもしれない。正直、これも飛行機の中では生きた心地がしませんでした。実際には、何もなかったのだけれど。


教訓。リコンファームは大切に!あと、Sudan Airlinesという国営の航空会社もジュバ〜ハルツームを運行していますが、相当悪評なので(安全性ランキング世界の300社中289位とか)やめておいたほうがよいです。


飛行機ついでに、次回は空港の話でもしますかね。

ビザの取得と現地での外国人登録

ジュバのコニョコニョマーケットの女性



スーダンは、正直ツーリストを呼ぶ気がないのではないか!?と疑うくらい、行政手続きが煩雑で、ぼったくりです。私は東京でスーダンの観光ビザを取り、スーダンに入国後外国人登録というものを行いました。


観光ビザは、都立大学前にある在日スーダン大使館(http://www.sudanembassy.jp/japan_top.htm)で取得しましたが、正直必要書類の多さにひきました。HPからダウンロードできる申請書のほかに、親による英文身元保証書、所属団体による推薦状(私の場合大学院の教授の推薦状)、現地での英文滞在スケジュール。ただし実際には結構適当なようで、推薦状やスケジュールはフォーマットも決まっていないし、大使館側もいい加減な扱いしかしていないようです。申請書はHPからダウンロードしてもアラブ語で書かれていてわけがわからないので、実際に大使館でサンプルを見せてもらうとよいでしょう。


スーダンのビザは何よりも高い。1ヶ月の観光ビザ(シングル)が10,280円しました。なおビザにはあのVISAカードのマークのシールもついていました。また、申請から発行までに3営業日くらいかかります。(cf.ウガンダビザは6000円程度、即日発行)


それだけではなく、スーダンでは入国後3日以内に内務省外国人登録を行わなければなりません。これを怠るとトラブルのもと、下手したら出国できなくなるそうです。私は南部の首都ジュバに入ったので、登録はジュバで行いました。以下に述べるのはジュバでの手続きであるため、ハルツームはじめ北部とはプロセスや値段が異なる可能性があります。いずれにせよ、スーダン政府は外国人から外貨をぼったくることしか頭にないような印象です。


ジュバの内務省のImmigrationに、お世話になった日本のNGOの方に連れて行っていただきました。申請に必要なのはパスポートと顔写真(パスポートサイズ)1枚。まずこれを担当の職員(迷彩服を着ていたが、警察官らしい)に渡す。すると、発行する書類をはさむファイルを買えと言われます。このファイル、ただの色紙なのですが25SDP(スーダンポンド、1スーダンポンド〜2ドル)をとられます。この時点で「はぁ!?」と言いたくなります。そして待つように言われ、ひたすら椅子で待たされますがその間担当の人はぼーっと椅子に腰掛けているだけで何も仕事をしているようには思われません。なんと怠惰であるか。見ていてイライラします。


さんざん待たされた後、何やら書類がファイルに挟まれて別の担当者に渡されるので、その人について別の部屋に行くと、さらに登録料122.5SDPを取られます。で、またひたすら待ちます。辛抱強く待っていると、その書類はまた運ばれて最初の担当者のもとに戻ります。そして受け取り。よく見ると、パスポートのビザの張られているところに小さなアラビア語の印が押されています。正直、担当官に「どれ?」と聞かないとわかりませんでした。


この外国人登録では、明らかに仕事をしていない怠惰な担当者のおかげで2時間以上待たされ、ファイル代+登録料で147.5SDPとられました。これはおよそ9000円、ぼったくりです。ですがこれをしないと日本に帰れないので、仕方がありません。Immigrationには多くの欧米、日本のNGOのスタッフおよびその代理のスーダン人が手続きに来ているので、わからなかったら彼らに聞くとスムーズに手続きが進むでしょう。


私はジュバで登録をしたところ、少なくともハルツームを経由して出国することはできました。ハルツームで改めて登録をする必要はないようです(日本人の常識では当たり前ですが)。


スーダンの人たちは基本的にいい人たちばかりで、本当に親切だしだまされることもあまりないのですが、国民性なのか紛争のためなのか、役所は本当に怠惰です。正直、これでは国の将来はない、というのが感想ですね。政府として、支援に来ているNGOや観光に訪れるツーリストからとにかくお金をむしりとるシステムを採用しているようでは、近代国家には程遠い。たとえ近代という概念が西洋の押し付けであるとしても、やはり問題があると思います。


とにかく、外国人登録は必須なので、確実に3日以内に行うようにしましょう。


※余談ですが、本日は大学院修士課程の修了式で、ついに小学校以来18年にわたる学生生活を終了いたしました。博士への未練を残しつつ、さりげなくプーになります。

治安と健康

ウガンダの子供たち



スーダンウガンダの治安についてです。治安情報は一般に外務省の海外安全ホームページhttp://www.anzen.mofa.go.jp/index.html)から参照できます。先進国は特に危険情報というのは出されていませんが、途上国はたいがい4段階の危険情報というのが出されていて、軽いものから順に「十分注意してください」「渡航の是非を検討してください」「渡航の延期をおすすめします」「渡航を延期してください」となっています。


私が訪れた地域に限って述べると、スーダンの首都のハルツームは「十分注意してください」、南部の首都ジュバは「渡航の是非を検討してください」、テレケカ郡の地域は「渡航の延期をおすすめします」でした。私自身は身の危険を感じたことはありませんでしたが、いずれも日本人の知人の方がいて、日本のNGOの方々と行動をともにしていたから可能であったのであって、知り合いもなく訪れるのであればハルツームのみと考えるべきでしょう。治安の面からも、インフラの面からも、観光資源の面からもそのように思われます。


ウガンダについては、首都カンパラとジンジャ、マーチソンフォールズ国立公園のいずれも「十分注意してください」。ただし、感想としてはカンパラダウンタウンを夜うろつくのはやめたほうがよさそうです。また、マーチソンフォールズ国立公園は2005年にイギリス人観光客が強盗(LRAという武装集団)に遭い殺されたという経緯からつい最近まで危険レベルが高く、06〜07版地球の歩き方にはマーチソンフォールズは掲載されていません。ただ、ごく最近になって警備も強化されLRAは公園内から一掃されたようで、外務省も警戒レベルを下げています。危険ということで掲載されていませんでしたがウガンダでもっとも素晴らしい国立公園の1つですので、おそらく歩き方も次回改訂の際には(いつになるのか知りませんが)取り上げることになるでしょう。


カンパラ、ジンジャ、ハルツーム、ジュバの各都市はいずれも、日中町を歩いていて危険を感じることは基本的になく、治安はよいです。ただしカンパラダウンタウンでは一部、がらのよくないところがあるので、単独行動は避けたほうがよさそうです。露店のマーケットや、車通り・人通りの少ないところには近寄らないほうがよいでしょう。マーチソンフォールズ国立公園も、私は2泊3日で滞在しましたがセキュアで、欧米人ツーリストもたくさんいました。


基本的にスーダン人もウガンダ人も親切でいい人たちばかりなので、町を歩いていても全然安心です(そこがインドとは大いに違う)。ただし貧しい人々であることは事実なので、いくらいい人たちばかりだといっても日本人ツーリストによからぬ感情を抱く人もいることは頭に入れるべきでしょう。


衛生面について考えると、私は黄熱病、A型肝炎破傷風の予防接種を受けました。また、マラリアについては内服薬を服用しています。また、私が訪れた3月は乾季にあたり、スーダンでは髄膜炎の心配もあるようですが私は摂取は受けませんでした。狂犬病は致死率100%なので、長期滞在で動物と接触する可能性がある場合、受けたほうがよいでしょう。


予防接種は検疫所をはじめ、いろんなところで受けられます。以下、私が検討したところです。実際は1と3を利用しました。

1、東京検疫所(http://www.forth.go.jp/keneki/tokyo/syokai/yobo.html
2、国立国際医療センターhttp://www.imcj.go.jp/dcc/index.html
3、ザ・キングクリニック(http://www.thekingclinic.com/


ただし黄熱病は検疫所でのみ受けられます。イエローカードの発行は受けましたが、今回の旅行で提示を求められることはありませんでした。また黄熱病は活性ワクチンなので、摂取後4週間、他の予防接種を受けられないため、計画的な摂取が必要です。


予防接種はだいたい1回8000円程度と考えればよいでしょう。肝炎などは複数回摂取が必要です。また、上記1、2は国立なので割安、3は民間であり割高です。ただし、私の利用した感想だキングクリニックのほうが渡航先の衛生状況について詳しい資料を用意してくれ、懸念される感染症についても詳しく丁寧に説明してくれたので、かなりサービスがよいです。検疫所で摂取を受けたときは、白衣ですらない私服のお医者さんに流れ作業でぽん、と注射されて終わり、みたいな感じでした。


当たり前ですが現地で生水は飲んではいけません。必ずペットボトルのミネラルウォーターを買います。市場で果物や揚げ物を買い食いしたりはしましたが、おなかがゆるくなった程度で特に害はありませんでした。


マラリアについては、別途書くことがあるかと思います。

Context

南部スーダン、テレケカ州の集落で



この春休み(2008年)、卒業旅行ということでスーダンウガンダに一人旅してきました。


きっかけは、昨年の10月にボランティアスタッフとして参加した、南部スーダンに関するイベントでした。それまで自分はスーダンについて名前しか知らなかったし、地図上でどこにあるかも正直あいまいな知識しかもちあわせていなかった。まして、その国が独立直前の1955年から、間に停戦をはさむものの50年以上にわたる南北の内戦で荒廃し、経済的にも最貧国の1つであることなど知るよしもなかった。ちなみに世界失敗国家ランキングでは第1位らしい。


この南北内戦は北部の政府と南部のSPLA(スーダン人民解放軍)の対立である。イスラムと非イスラム、アラブとアフリカ、などもろもろの背景から事態は複雑化。結局、2005年に包括的な停戦協定が結ばれ、南部10州は自治権を獲得した。2011年には独立を決める国民投票が行われる予定である。現在ダルフールの紛争がメディアに取り上げられているが、スーダンの国境付近ではだいたい現在も紛争が続いていると考えてよいのではないか。


さて、この南部スーダンの復興にフォーカスしたイベントの企画に携わった折、私は大きな違和感を感じていた。それは、現地を見たこともない自分たちが、たとえ現地を知っている人をお招きしたとはいえ、スーダンについてのイベントを企画し、集客をして、満足している、ということ。結局のところ自分の中のスーダンが虚構のまま、中身のないまま、そんなイベントに携わって意味があるのだろうか?と。このとき、漠然と次に海外に行くときはスーダンかな〜と、考えたのでした。


さて、そんなお堅いことを考えたのもイベント当日くらいのもので、時は流れ、卒業旅行シーズンになったのです。そのとき再びスーダンを思い出しました。しかも幸運なことに、スーダンの首都ハルツーム南部スーダンの首都ジュバ、ケニアの首都ナイロビに日本人の知人がいるというフラグの立ちっぷり。ただ残念なことにケニアは昨年末の大統領選のごたごたでとても観光客が訪れられる状況ではないようだったので、一時は南アフリカケープタウンを模索したりしました。しかし、東アフリカに入るにはナイロビ以外にウガンダ経由というオルタナティブがあることに気づき、迷った末、スーダンウガンダ旅行に決定。2/26〜3/18で、ウガンダスーダン・ついでにストップオーバーでドバイをまわってきたのでした。


今回はナイルをたどる旅であったといえます。順序はばらばらですが、ウガンダビクトリア湖でホワイトナイルの源泉を見て、それがウガンダを北上して織り成す雄大なマーチソンフォールズを望み、南部スーダンのジュバでナイル沿いの人々の暮らしを見、ハルツームでホワイトナイルとブルーナイルが合流してナイルとなるさまを見ました。一言で言えば、"awesome!"でした。これは、今回の旅行で覚えた単語です。


"awesome"という単語はウガンダで仲良くしてくれたカナダ人の女の子に教わったもので、"cool!"とか"great!"とかの最上級表現のようです。それまで聞いたことなかったのだけど、その後出会う欧米人ツーリストは確かにことあるごとにこの単語を発していました。皆様のボキャブラリーにも加えてあげてください。(というか、知らない私がアホなのか)


ずいぶんお堅いことを書いてますが要するに卒業旅行に行きました、というだけなので、ここから先は単なる旅行記とあいなります。